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服は機能的ではない

服飾とか化粧というと、だれもが、それは身体を保護するものだとか、じぶんをきれいに見せるためのものだと考える。たとえば衣服や靴(スニーカー)なら、凍りつくような寒気や灼熱の陽射しから肌を保護するもの、足の裏をざらついた大地から護るものだというわけだ。たしかにそういう面はある。阪神・淡路大震災のような被災時には。そのことは痛心される。けれども衣服や靴のかたちと構造を具体的にみていくと、とてもそんなにかんたんには言えないことがすぐにわかる。たとえば靴一つとってもそうだ。わかりやすいようにいちばん極端な靴、女のひとのハイヒールを例にとりあげると、ハイヒールは人間の足のかたちをまったく無視したフォルムになっている。先が尖って紡錘形になっているし踵は細い棒に押し上げられるかたちでうんと上に位置している。だから指は圧迫されるし、安定もわるい。生まれたときぼくらの足の指は放射状に開いていたはずだけれど、長いあいだ紡鍾形の靴を履きつづけてきたものだから、指はくっつき、折りたたまれて、小指などは円柱ではなく三角錐になってしまっている。それに踵が高いものだから、歩きにくくてしかたがない。要するに、ハイヒールはわざと足をいじめるために、あるいは歩きにくくするために、編みだされたとしか考えようがない。けれどもその痛い靴、歩きにくい靴に、幼いころから心ひそかに憧れている女のひとも少なくない。

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