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行列を作る人々のブランド観

若い世代の間ではかってのような西洋コンプレックスからブランド品を買い求める傾向が薄れてきている、という指摘もある。伊藤忠ファッションシステムの川島容子の意見はこうだ。今の二十代以下は自分が『イケてる』と思うかどうかが基準。だから、いいものであれば、並んでも買うし、逆に並ぶのが恥ずかしいと思うのは、それより上の世代が持つ西洋コンプレックスの裏返しではないでしょうか。(毎日新聞社『サンデー毎日』二〇〇三年二月九日号)ブランドショップの前に行列を作っているのは、体力的な問題も多少影響しているのか、圧倒的に若い人が多いのだが、彼ら彼女たちの姿を見ると、美味しいと評判のラーメン屋に並ぶのと同じ感覚でブランドをとらえているように思える。ブランド品を買うのにあんな風に行列を作るなんて恥ずかしい、格好悪い、みっともない、とついたしなめたくなるのは、おそらく川島が指摘するように、「欧米の高級なブランドなんだから、それ相当の格好や心構えが必要だ」という西洋Jソプレックスにしばられているからかもしれない。現在のブランドブームの担い手である若い世代は、昔の日本人が持っていた欧米のブランドに対する敬意が薄い。一流のブランドだからといって、決してひれふしたりはしないのだ。敬意もなければ、「欧米のブランドなんて」という反発もない。それでいてブランドの権威に価値基準を置き、流行りモノの一環としてブランド品を見ている。プラグが流行りであればプラグを買うし、やっぱり今はヴィトンだという情報に触れれば、ヴィトンを買う。その時のトレントを実に素直に受け入れ、「オシャレなブランド品を持つ私」を表現していく。西洋コンプレックスから解き放たれた彼女たちが向かった先が、結局は欧米のブランドだというのは皮肉な話だ。が、それも仕方がない。海外のブランドものを持つことが、オシャレであり、最先端のファッションだと考えているのだから。ブランドはこうした日本人の志向をよく把握している。だから、毎シーズン新作を出し、新しさを貪欲に打ち出していく。マスコミもそれを煽る。